外壁塗装を成功させるために最も重要な『下地処理』の工程の中の1つである『高圧洗浄』はほとんどの外壁塗装において実施する作業です。
外壁塗装で失敗しないためにも、高圧洗浄は、
- どのような作業をするのか
- そもそも必要なのか
- どれくらい時間がかかるのか
- 費用相場・価格はいくらか
- 水道代はいくらかかるのか
- 高圧洗浄時のトラブルはあるのか
など、疑問に感じやすい部分をまとめて解消できる情報をお届けします。
外壁塗装の高圧洗浄について詳しく知りたい方の参考になりましたら幸いです。
- 高圧洗浄は、塗料をしっかり密着させるために必要不可欠
- 高圧洗浄にかかる期間は1日〜3日で、単価は200円〜300円/㎡
- 水漏れなどのトラブルを回避するためには、業者選びが重要
外壁塗装の高圧洗浄とは?
高圧洗浄とは、『機械から高圧の水を噴射し、外壁の汚れを取り除く作業』のことです。
子供のころに水鉄砲で遊んだことがある方もいるかと思いますが、『水鉄砲の大きくて強力なもの』が高圧洗浄機です。
外壁表面のカビ、コケ、汚れ、チョーキングの粉などを落とす役割がありますが、剥げかけている塗膜も落とすことができます。
チョーキングとは、白亜化(はくあか)とも呼ばれ、チョークの粉のようなものが塗膜の表面に浮き出てくる現象のことです。外壁が劣化している状態の目安の1つです。
外壁の汚れが深刻な場合はバイオ洗浄を行うケースも
バイオ洗浄とは、洗浄する面にバイオ洗剤を塗布して、細菌を浮かした上で高圧洗浄するものです。
薬剤を使用しますが、人体に影響はなく匂いも気にならないので、近隣にも迷惑はかかりません。
バイオ洗浄は必ずしも実施する必要はなく、カビやコケの深刻度を見極めて実施します。
ただ、薬剤を塗る分、通常の高圧洗浄よりも費用がかかりますので、見積書にバイオ洗浄の項目があったら、『なぜバイオ洗浄をする必要があるのか』を確認し、説明に納得できないようなら断ってもいいでしょう。
外壁塗装前に高圧洗浄作業が必要な理由
外壁塗装前に高圧洗浄作業が必要な理由は『塗装の密着性に直接影響するから』です。
いくら質の高い塗料を塗っても、汚れた下地の上から塗ってしまうと、すぐに剥がれてしまいます。
手抜き工事をされて十分な洗浄が行われなかった場合、本来、15年の耐用年数がある塗料でも1年ほどで剥がれる可能性もあります。
塗装した塗膜を長持ちさせるためには、塗料の密着性が重要で、密着性をあげるためには、高圧洗浄して汚れを綺麗に取り除く必要があるのです。
外壁塗装の高圧洗浄作業に使うのはどんな機械?
高圧洗浄は、『高圧洗浄機』という機械を使用します。
使用の際は、大きなバケツやタンクに水を溜めて、その水を機械で吸い上げて噴射します。
蛇口から直接噴射できないのは、水圧が低くく、汚れを落とすために必要な圧力にならないためです。
高圧洗浄機の水圧はどれくらい?
高圧洗浄時に、かかっている水圧は、家庭用とプロの機材で違いがあります。
- 家庭用の洗浄機…8~12MPa
- プロが使用する洗浄機…15Mpa以上
このように場合によっては、2倍以上の差が出るケースもあります。
1Mpa(メガパスカル)は、1㎡に約100t(トン)の力が作用する状態です。約100tは、150kgの力士667人分と同じ重量です。
この水圧の違いで、落ちる汚れ落ちない汚れの差が出てきますので、家庭用の洗浄機では外壁塗装の高圧洗浄はできません。
また、洗浄機によっては人体を貫通するほどの威力がある機械もあります。
実際に死亡事故が起こった事例もありますので、使用時には十分注意が必要であり、プロである業者さんに任せた方が安心です。
高圧洗浄機の噴射口には種類がある
高圧洗浄機の噴射口(ノズル)の主な種類は、以下の通りです。
- 通常の扇状に出てくる普通噴射タイプ
- ぐるぐると回りながら噴射するトルネードタイプ
他にも、洗浄範囲を変えられる可変タイプ、簡単に取り付けできるタイプなどもあります。また、ノズルの口の大きさによっても違いがあります。
それぞれの『普通噴射タイプ』は外壁や屋根の洗浄時、『トルネードタイプ』屋根の洗浄時に使用することが多いです。
トルネードタイプの方が、水を回転させながら噴射する分、洗浄できる範囲が広く、ムラが起こりにくいメリットがあります。
高圧洗浄機は騒音が発生する
高圧洗浄機は使用時に騒音が発生します。住宅街の場合は特に近隣へ騒音の配慮が必要です。
静音タイプの高圧洗浄機であれば、約60デシベルしか音が発生せず騒音をかなり抑えられます。
60デシベルは、『銀行の窓口』や『博物館の館内』で発生する音と同等なので、比較的静かと言えます。
静音タイプではない高圧洗浄機だと、80~90デシベルの音が発生し『ゲームセンターの店内』や『パチンコの店内』で発生する音と同等なので、かなりうるさいと感じるはずです。
かなり発生する音量に差があるため、見積段階で静音タイプの高圧洗浄機を使用するのか、確認するのがポイントです。
また、外壁に高圧水が当たる音もかなりうるさいので、事前に近隣へ挨拶をしに伺いましょう。
外壁を高圧洗浄するのに必要な作業時間
外壁を高圧洗浄するのに必要な作業時間は、1日〜3日です。
一般の戸建住宅の外壁を高圧洗浄するとなると丸1日、時間がかかります。
また、高圧洗浄は、乾燥期間が非常に重要です。
乾燥が不十分な状態で塗料を塗ると、塗膜の中で乾燥していない水が蒸発し、塗膜が浮いてくることがあります。
すると、密着度が下がり早く剥がれることに繋がるため、時期や気候によっては丸2日間、乾燥期間が必要になることもあります。
そのため、全体で丸3日間、作業時間が必要になることがあるのです。
高圧洗浄の作業時間の内訳…高圧洗浄作業が1日+乾燥時間が1日〜2日が目安
外壁塗装の高圧洗浄の費用相場・価格
種類 | 費用相場・価格 |
---|---|
高圧洗浄 | 200円~300円/㎡ |
バイオ洗浄 | 400円~900円/㎡ |
こちらが、高圧洗浄の費用相場・価格の表です。
費用相場は、施工性(施工しやすいか)、汚れ具合によって多少差が出る可能性があります。
例えば、2階建て20坪外壁面積80㎡のご自宅で高圧洗浄を行う場合、16,000円~24,000円が目安です。
多少前後はありますが、上記の外壁面積で高圧洗浄のみの項目で40,000円以上(平米単価500円以上)の見積り金額の場合は、疑いの目をもって洗浄内容の確認をしたり、金額が下がらない場合、依頼しないという判断でもいいでしょう。
高圧洗浄の金額は、見積書の中で『項目』または『規格・仕様』の欄に記載されることが多いです。
外壁塗装を高圧洗浄するときにかかる水道代
高圧洗浄をするときの水道代は発注者(お客様)の負担となります。
具体的な水道代ですが、仮に朝から夕方まで約10時間作業する場合、高圧洗浄機の吐出数量が600ℓ/時だとすると10時間で6,000㍑使用することになります。
数字だけ見るとすごい量の水を使っているように感じますが、計算すると水道代は約1,600円です。
また、10時間の間ずっと水を出しっぱなしにするわけではないので、実際の水道代はもう少し安くなります。
高圧洗浄機を使用する際は、常にタンクの中に水を溜めておく必要があるので、蛇口からタンクへの水の供給は絶えず行われています。水が出っぱなしでタンクから水が溢れていることもあるくらいです。
当然、「水道代がもったいないなぁ」と感じる方もいるかと思いますが、これはある程度は仕方のないことです。
タンクの水が空になってしまうと蛇口から水を出してタンクに給水することになりますが、毎回給水をすると、時間がかかり水道代より作業費の方が余計にかかってしまいます。
もちろん、昼休憩中などに水を出しっぱなしにしているようなら注意が必要です。
外壁塗装の高圧洗浄作業で業者を見分けるポイント
業者によっては手抜き工事をする業者も中にはいます。
業者を選定するにあたり、どのようなところに気をつけなければならないのか、工事中どのようなところを確認する必要があるのかをご紹介します。
見積り内容
見積り明細に『高圧洗浄』の項目がなく、『サービスする』業者は要注意です。
費用がかからず聞こえはいいかもしれませんが、手抜き工事される可能性があります。
高圧洗浄機は数十万、ものによっては何百万円する機械であり当然初期費用がかかっています。
その初期費用を回収する必要があるので、見積りの項目に入れるのが普通です。サービス工事は建前で、実際は足場や下地、塗装費用に上乗せしているだけなのです。
他の費用項目に上乗せする方法は、外壁塗装だけでなく、建築業界にある風習です。
また、これは洗浄作業に限りませんが、『一式』という表記になっていることもあります。これは一式でまとまっているため詳細がわかりません。㎡数で記載するのが普通です。
このように抽象的な表記をする業者はあまり信用できないため、実際の見積り金額はいくらなのか、一式の詳細を確認する上でも複数社の相見積もりを取得するようにしましょう。
手間をかけずに相見積もりを取りたい方は、『ヌリカエ』を利用してみて下さい。
工事中に確認すること
既にお伝えの通り、高圧洗浄作業は洗浄で1日、乾燥で2日かかります。
しかし、手抜き工事をする業者はこの工程を2~3時間で終わらすことがあり、注意が必要です。
面積が狭く、外壁の汚れが少なく、非常に作業スピードが早い業者の場合不可能ではありませんが、2~3時間では洗浄が不十分の可能性が高いと言えます。
汚れがひどい場所などは集中的に洗浄したり、極力飛散しないように配慮しながら作業するので、2~3時間で終わることはほとんどありません。
あまりに早く洗浄作業が終わるようなら『しっかり洗浄したのか』の確認をしたほうが良いでしょう。
外壁の高圧洗浄でトラブルは起こる?回避方法は?
高圧洗浄機は水を使う作業なので、その際に起こるトラブルのほとんどは『水漏れ・雨漏り』です。
水漏れ原因として多いのは、クラック(ひび割れ)や窓回りのコーキングなどが挙げられます。
既にお伝えの通り、15MPa以上の高い水圧で洗浄しますので、クラックの幅が大きければそこから建物内に水漏れしますし、窓回りのコーキングやサッシの立て付け不良が原因で水漏れすることもあります。
業者の対策は、クラックや窓回りの洗浄をする際は水圧を下げる、または洗浄機を使わない、という洗浄方法をとります。
当然、その部分は汚れが落ちていないので、手作業で汚れを落とします。
ただ、業者さん、職人さんの腕に依存する部分も大きく、信頼できる業者さんに頼むことが一番の対策と言えるでしょう。
- 高圧洗浄の作業前に水漏れの危険性がある場所を確認している
- どのように作業を進めるのか教えてくれる
- コミュニケーションがしっかり取れる
このような業者さんに依頼することでトラブルを回避できる可能性が高まります。
水漏れが発生してしまうと部屋の内装材が濡れて張り替えなければならなくなったりし、大変な二次災害になりますので、信頼できる業者さんなのか、コミュニケーションを取って確認することが大切です。
まとめ
外壁の高圧洗浄は、下地処理の工程でほとんどの場合に実施する作業です。
お伝えしたことをまとめると以下の通りです。
- 高圧洗浄作業は、外壁の汚れを落とす作業
- 高圧洗浄は、塗料の密着性を高めるために必要
- 騒音が発生するため近隣への挨拶が必要
- 作業時間は1日〜3日が目安
- 費用・価格は200円〜300円/㎡が相場
- 水道代は施主(お客様)の負担
- 見積もりが抽象的でなくコミュニケーションがしっかり取れる業者を選ぶ
高圧洗浄は、外壁塗装に必要不可欠な工程ですが、水を使う作業でトラブルが起こる可能性があり、職人さんの腕が問われる工程でもあります。
外壁塗装の成功には欠かせない作業なので、安心して任せられる経験豊富な業者さんを選びましょう。