アスベスト含有外壁の年代や見分け方!除去費用や工法まで解説

外壁とアスベスト

アスベスト(石綿)と聞くと『健康被害を及ぼす危険な材料』というイメージをお持ちではないでしょうか?

アスベストは、危険材料であるため現在の外壁材には含まれていません。

しかし、2000年代半ばより以前に建築した住宅には、アスベストが入っている可能性があります。

外壁のリフォームを考えている方は特に、現在お住まいの家の外壁にアスベストが使われているかもしれません。

もし使われているのであれば適切に処置する必要があります。

厚生労働省でもアスベストに関して法改正し、アスベストが含有されている場合のリフォームなどに関する措置を強化しています。

この記事ではアスベストについて正しく理解していただけるように、

  1. アスベストとは?
  2. アスベストの危険性
  3. アスベストが使われているか見分ける方法
  4. アスベスト除去の手順

こちらの内を中心にお伝えします。

アスベストに対する措置は『労働安全衛生法』で定められているため、法に沿って適切に対処できる業者さんにお願いしましょう。

この記事のポイント
  1. アスベストは見た目だけで判別しづらい
  2. アスベストは呼吸困難や肺がんを発症させる可能性のある危険な物質
  3. アスベストの含有は「建築時期・仕様書・調査」で見分ける
  4. アスベスト調査費用は約20万円~30万円で、除去費用は約40万円~50万円
  5. アスベスト除去では飛散防止対策を重点的に行う
目次

アスベストとは?

アスベストとは、石綿(いしわた)とも呼ばれ、天然の繊維状けい酸塩鉱物のことを言います。

代表的なアスベストとして、

  • クリソタイル(白石綿)
  • アモサイト(茶石綿)
  • クロシドライト(青石綿)

などがあります。

アスベストは、極めて細い繊維でできており『リシンなどの吹き付け材や保温材、断熱材やスレート材』などに使用されてきました。

外壁ではモルタル外壁、屋根ではスレート屋根で使われているケースがあります。

しかし、現在では発がん性など健康被害が問題となり原則、製造販売、使用を禁止しています。

アスベストの特徴

アスベストは断熱性・耐火性・電気絶縁性・耐酸性・耐アルカリ性・吸音性・吸着性など多くのメリットがあったため、幅広く使用されてきました。

アスベストは見た目の特徴として以下の3つがあります。

  1. ワタ状に張り付いている
  2. 毛羽立っている
  3. 青色・灰色・白色・茶色

時間が経つにつれてフワフワしたワタ状に変化し、天井の梁などに吹き付けられて毛羽立っている特徴があり、複数の色があります。

ただ、似ている素材があり、見た目の特徴だけではアスベストかどうかを判別するのは難しいため、あくまで参考としてご覧下さい。

判別するためには、建築された時期や仕様書の確認、専門業者の調査などが必要です。

アスベストとロックウールの違い

アスベストとロックウールは見た目が似ていることから、よく間違う方が多くいます。

ロックウールは戸建て住宅の壁やダクトなどに多く使用されていますが、健康被害などの報告はなく現状問題はありません。

以下の表に違いをまとめました。

項目アスベストロックウール
成分天然の繊維の鉱物人造の繊維の鉱物
繊維の大きさ0.02~0.35μ(マイクロ)m3~10μ(マイクロ)m
体内での分解分解できない吸収排出する
発がん性ある人に対し発がん性に分類しない
アスベストとロックウールの違い

1マイクロメートルは、ミリメートル(mm)の0.001倍の大きさです。

このようにアスベストとロックウールは全く違う物質のため、混在しないように注意が必要です。

ロックウールはアスベストの健康被害が大きく問題になった後に、代替品として多く使われるようになった経緯があります。

ロックウールは、IARC(国際がん研究機関)の分類では、グループ3=人に対し発がん性に分類しないグループに分類されています。これはお茶と同じグループです。

アスベストの危険性

アスベストは非常に小さい物質のため、人が吸い込んでしまうと肺に侵入し、肺の中で蓄積されたアスベストが原因で呼吸困難を起こしたり肺がんを発症させるなど、非常に危険な物質です。

WHOでは、肺線維症(じん肺)や悪性中皮腫の原因になると言われ、肺がんを起こす可能性についての報告があります。

潜伏期間が長いため気付きにくい

石綿による健康被害は、石綿を扱ってから長い年月を経て出てきます。例えば、中皮腫は平均35年前後という長い潜伏期間の後発病することが多いとされています。

引用元:https://www.mhlw.go.jp/

厚生労働省のホームページでは、潜伏期間が長い危険性について触れられています。

また、厚生労働省では、仕事を通してアスベスト(石綿)を吸っている方や吸っていた方は作業方法にもよるものの、定期的な健康診断を受けることをおすすめしています。

特に吹き付けた状態で剥き出しになっている場合は、吸い込んでしまう危険があるため注意が必要です。

どのくらいの量のアスベストを吸い込んだら発病するのかは不明

アスベストを吸い込んだ量と中皮腫や肺がんなどの発病との間には相関関係が認められていますが、短期間の低濃度ばく露における発がんの危険性については不明な点が多いとされています。現時点では、どれくらい以上のアスベストを吸えば、中皮腫になるかということは明らかではありません。

引用元:https://www.mhlw.go.jp/

厚生労働省のホームページでは、アスベストを吸い込んだ量と発病の相関関係は認められているものの、具体的な量については不明とされています。

空気中に浮遊した状態にある場合は危険と考えられている

戸建て住宅の外壁で使用されていた場合のほとんどは、外壁材に覆われていたり飛散しないよう固められていることが多いため、普段生活している中で人が吸い込んでしまうリスクは少ないと考えられています。

しかし、アスベストが使用されている外壁材をリフォームなどで剥がしたりする場合は飛散する可能性があるため、労働安心衛生法で解体の仕方や保護具などが厳密に定められています。

アスベストの危険レベル

アスベストには、危険レベルが大気汚染防止法で定められており、レベル1~3まであります。これは発じん性を表していますが、飛散性と同じ意味です。

また分類により、事前調査や施工方法等の配慮、作業実施届出の必要があるかどうかが変わります。

※レベル3につきましては、令和3年4月1日に追加されており注意が必要です。

分類建材の種類事前調査施工方法等の配慮作業実施届出
レベル1石綿吹き付け石綿必要必要必要
レベル2石綿含有保温材
石綿含有断熱材
石綿含有耐火被覆材
必要必要必要
レベル3
※令和3年4月1日から適用
石綿含有成形板等
石綿含有仕上塗材
必要必要不要
上記以外の建材 –必要不要不要
アスベストの危険レベル

このように分かれており、レベル1が発じん性がもっとも高いと言われています。外壁に含まれているアスベストはほとんどがレベル3に該当します。

各レベルについてご説明します。

レベル1

発じん性が著しく高いレベルです。

使用箇所としては、耐火建築物の柱や梁に吹き付けられるケースが多く、ビルの機械室やボイラ室などの天井や壁、ビル以外では体育館、講堂、温泉の建物、工事、学校の天井や壁に吹き付けがあります。

必要な対策として、防じんマスクや保護衣などを適切に使用するなど、厳重なばく露防止対策が必要です。

時期としては、昭和38年頃〜昭和50年はじめ頃までに多いのが特徴です。

レベル2

発じん性が高いレベルです。

使用箇所として、ボイラ本体や配管、空調ダクトの保温材への使用、建築物の柱や梁、壁などに耐火被覆材として張り付けているケースなどがあります。

必要な対策として、レベル1に準じて高いばく露防止対策が必要です。

レベル3

発じん性が比較的低いレベルです。

使用箇所として、建物の天井や壁、床などに張り付けているケース、屋根材として石綿スレート等を使用している場合があります。

必要な対策として、発じん性が比較的低い作業であるものの、破砕や切断などの作業では発じんを伴うため、湿式作業を原則として防じんマスクが必要です。

上記以外の建材

上記以外の建材の主なものとしては、吸音材などがあります。発がん性や必要な対策はレベル3と同様です。

アスベストが使われているか見分ける方法

実際に住んでいるご自宅にアスベストが使われているかどうかですが、大きく3つの方法で見分けられます。

  1. 建築された時期で見分ける
  2. 設計図書(仕様書)で見分ける
  3. 専門業者の調査を受ける

各項目毎にご説明します。

建築された時期で見分ける

戸建て住宅の外壁にアスベストが含有しているかどうかは、アスベストの法改正の時期によってある程度判断できます。

いわゆる建物の築年数でわかるということです。

これから法改正した時期とどのように改正されたかご説明します。法改正を表にまとめると以下の通りです。

法改正の年法改正の内容
1975年含有率5%を超える施工の禁止
1995年含有率1%を超える施工の禁止
2006年含有率0.1%を超える製・輸入・使用の禁止
アスベストに関する法改正の年と改正内容

1975年の法改正

『特定化学物質等障害予防規則の改正』が施行され、アスベストの含有率が5%を超えるような施工が禁止されました。

つまり、1975年以前に建築された建物にはアスベストが使用されていた可能性が高いです。

1995年の法改正

『労働安全衛生法施行令の改正』が施行され、アスベストの含有率が1%を超えるような施工が禁止されました。

この時期になるとアスベストを使わないようにするという動きが出始め、アスベストを使用していない建物も存在するようになりました。

2006年の法改正

『労働安全衛生法の改正施行令の改正』が施行され、アスベストの含有率が0.1%を超えるものは、製造や輸入、使用が禁止されました。

これによって新たに建築される建物にはまずアスベストが使われなくなりました。

この法改正の動きから、2006年以前に建築された建物にはアスベストが含有している可能性があり、2006年以降に建築された建物にはアスベストは含有されていないことがわかります。

設計図書(仕様書)で見分ける

新築当初の設計図書が保管されているようでしたら、その中にアスベストの含有の有無が記載されている場合があります。

使用材料が記載された資料やメーカーのカタログ、仕様書があれば記載されていることがありますので、確認してみましょう。

専門業者の調査を受ける

一番間違いがない方法は専門業者の調査を受けることです。

当然費用はかかりますが、実施すればアスベストが含有しているか、含有率は何%かがわかります。

調査方法は主に以下の3つあります。

  1. 定性分析
  2. 定量分析
  3. 濃度分析

定性分析は、アスベストの有無を調査する分析で、分析方法としては偏光顕微鏡法や位相差・分散顕微鏡法などがあります。

定量分析は、アスベストの含有率を調査する分析で、分析方法としてはX線回折法があります。基本的に定性分析でアスベストの有無を分析した後に、定量分析で含有率を分析する流れです。

濃度分析は、空気中のアスベスト濃度を測定し調査する分析です。調査をするにあたり、サンプリングを採取する必要があり、部外壁材などを剥がして検査場に持ち帰ります。

サンプリングを採取する際は飛散の可能性があることから、防じんマスクなどをしたり、飛散対策を実施した上で採取する必要があります。

調査に必要となる資格

調査を実施する際に必要な資格がありますので、ご紹介します。

  • 建築物石綿含有建材調査者
  • アスベスト診断士

こちらが調査の実施に必要な資格です。

アスベスト調査にかかる費用

アスベストの調査にかかる費用はサンプリングの数や業者さんによって異なりますが、約20万円~30万円かかります。

かなり高額なため、複数社に見積りを依頼し、会社の規模や実績、有資格者の人数などを比較検討した上で、お願いしましょう。

アスベスト除去の手順

実際にアスベストをどのような手順で除去するのか、ご紹介します。(危険レベル1,2相当の場合)

除去するまでの流れは以下の通りです。

STEP
事前調査

まずはアスベストが含有しているかどうかの調査をします。

※方法については『アスベストが使われているか見分ける方法』参照

STEP
作業計画の作成

除去方法や飛散防止対策の計画を立て、計画書を作成します。

STEP
計画の届出

労働安全衛生法や大気汚染防止法、建設リサイクル法に基づく届出を行います。

STEP
作業者の選任

事前に有資格者(石綿作業主任者、特別管理産業廃棄物管理責任者)である作業者を選任します。

STEP
除去工事準備

作業場所をそれ以外の場所と隔離し、作業者以外の者が立ち入りできないよう措置し、アスベスト除去中である旨の注意喚起文を掲示します。隔離にはプラスチックシートを使用するのが一般的です。

また、負圧装置の設置を行います。作業場所を負圧にすることによって飛散を防げます。他にも、粉塵飛散抑制剤などで飛散抑制を行います。

STEP
除去工事

実際にアスベストを除去する作業です。作業中は、防じんマスクや保護衣を使用します。

飛散抑制剤の効果を確認した後、ケレン棒などでアスベストを掻き落とします。

必要に応じてワイヤーブラシなどを使用して付着しているアスベストを取り除きます。

除去完了後、粉塵飛散防止処理剤を散布します。

STEP
清掃

作業場所の清掃を行い、隔離シートを撤去します。

アスベスト産廃物はプラスチック袋等に入れ、密封してから搬出します。使用した道具や保護具などは作業場所でしっかり清掃し、飛散しない措置を行います。

STEP
処分

飛散防止対策を施し、特別管理産業廃棄物として処理します。

STEP
施工記録・報告

工事内容を記録し、工事完了報告書を作成して発注者(お客様)に報告します。

このように除去する手順はいくつもの工程に分かれており、かなりの手間がかかります。

アスベストを飛散させないために有資格者による事前調査を行い、撤去作業の計画・実施、処分まで厳密なルールを基に除去する必要があります。

アスベストの除去にかかる費用

お伝えした通り、アスベストを除去するにはかなりの手間がかかります。そのため、当然その分費用が発生します。

外壁のアスベストを除去する場合、約40万円~50万円かかります。※調査費用別途

また、含有率や面積、業者さんによって費用が異なります。かなり高額なため、複数社に見積りを依頼し、会社の規模や実績、有資格者の人数などを比較検討した上で、お願いしましょう。

外壁のアスベストに対する工法

アスベストが含まれる外壁をリフォームする場合、

  1. 外壁張り替え
  2. 外壁重ね張り(カバー工法)

こちらの2つの工法が選択肢としてあります。

外壁張り替えは、古い外壁を剥がし、新しい外壁を張り替える工法で、カバー工法は古い外壁を新しい外壁材で覆う工法です。

アスベストの除去費用が一時的にかからない点では、カバー工法がコスト面で優位ですが、建物の解体時など最終的には除去が必要になることを考えると良し悪しがあります。

まとめ

アスベストは発がん性の危険がある非常に怖い物質です。

外壁のリフォームを実施する際にはアスベストが使われているか確認した上で、適切に処理する必要があります。

アスベストの調査や除去には多額の費用がかかりますが、これを省くことはできません。労働安全衛生法で厳密に除去方法が定められているためです。

また、アスベストの調査や除去を業者さんに依頼する際は複数社に見積りを依頼するようにしましょう。業者さんによっては無資格で実施することもあるためです。

何より健康に直接影響を及ぼす可能性のある作業ですので、複数の業者さんから話を聞き、信頼できる業者さんにお願いしましょう。

この記事が、アスベストについて理解する上でお役に立てれば幸いです。

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